親孝行

いつまでも元気でいてくれるはずだと思っていた母が亡くなって7年、父が亡くなって3年が過ぎました。
子供というのは殆どが親不孝者で、子が親孝行をするのは何もわからない幼児の頃と、いよいよ足腰が立たなくなった親に何十年もの親不孝の罪滅ぼしの何分の一を補填しよう、と一時しゃかりきになる事が有る位で、親と子のバランスシートでは殆ど親の持ち出し超過で終わっているようです。
私自身では、あの時あれをして親が喜んでくれたという想い出が幾つか有る位で、その何十倍何百倍もの心配や苦労をかけています。今になって後悔しきりです。
父は長男の私に6代続いた家業を継げと言う事もなく、四人の子供達をそれぞれ好きに、やりたいようにさせてくれました。仕事がうまくいってそれを話すと我が事として喜んでくれました。母は私の仕事の事は何もわからないようでしたが、学生の頃、夏休みに帰省して東京に戻る時には、家から少し離れた神社の前まで見送った後、電柱の陰に隠れて涙を流しながら見送ってくれていたそうです。母が亡くなった後に近所の方から聞きました。
自分が今の歳になって、父、母の愛情の深さに感謝するだけです。
両親が亡くなった後、朝晩お仏壇にお参りをして、帰省の際に墓参りをしてもらうだけでは、つくづく割りの悪い親不孝者だと思われている事でしょう。
「親の恩は子に返せ」という言葉が有ります。せめてそのように努める事と、四人の兄弟姉妹達と仲良くつきあうようにする事が、亡くなった両親への供養ではなかろうかと最近は思うようにしています。

 by 万次郎